Press Release
オンラインによるEBMスタイル臨床研修プログラムは、薬剤師が論文を読む頻度やEBMの実践を意識させる機会を増加させる。
■「薬剤師のジャーナルクラブ」の取り組みに関する研究論文が2017年6月21日付で「Journal of General and Family Medicine」に掲載されました。
問い合わせ先: NPO法人AHEADMAP 共同代表 青島周一syuichiao@gmail.com
「薬剤師のジャーナルクラブ(Japanese Journal Club for Clinical Pharmacists : JJCLIP)」とは、EBMスタイルの臨床教育プログラムです。臨床医学に関する論文抄読会を、インターネット上で公開することで、誰でも気軽に論文の批判的吟味を体験することを可能にさせ、実際の症例へどのように適用させていくか考察しながら、EBMの手法を学ぶ機会を提供することを目的としています。1)2)今回の研究では、この「薬剤師のジャーナルクラブ」という取り組みが、臨床における薬剤師の行動や態度にどのような影響を及ぼすのかを検討しました。
JJCLIPツイキャス配信による論文抄読会はEBM学習をはじめるきっかけになりますか?
■発表論文
S.Aoshima, H.Kuwabara, M.Yamamoto. Behavioral change of pharmacists by online evidence-based medicine-style education programs. Journal of General and Family Medicine. First published: 21 June 2017. DOI: 10.1002/jgf2.110
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jgf2.110/full
■背景
オンラインによるEvidence-based medicine (EBM)臨床教育プログラムは、研修医の知識や技能向上に有用であることが示されているが、非英語圏における薬剤師に与える影響は不明である。本研究では、インターネット上で実施した薬剤師のためのEBMスタイル臨床教育プログラムの有用性を検討した。
■方法
EBMスタイルオンライン学習プログラム(Japanese Journal Club for Clinical Pharmacists:JJCLIP)はスカイプを使用し3名の薬剤師によって運営されている。本研究ではプログラム視聴者を対象にインターネット上でアンケート調査を行い、論文を読む頻度、EBM実践を意識する機会の頻度を視聴前後で比較した。各頻度は「ほぼ毎日」「週に1~2回」「月に1~2回」「年に1~2回」「全くない」の5つに分類し、視聴前後の変化についてWilcoxon符号順位検定を用いて検討した。
■結果
インターネット上でのアンケート調査は2014年8月24日と9月7日にアナウンスされ、同日の最大視聴者数は113人であった。このうちアンケート調査の回答が得られた36例を解析した。視聴前に比べて、論文を読む頻度、EBM実践を意識する機会の頻度ともに、「週に1~2回」、「ほぼ毎日」が増加し、「全くない」は大きく減少した。各頻度の全体変化は、視聴前後で有意であった(p<0.001)
■結論
インターネット上でのEBMスタイル臨床教育プログラムは、薬剤師の卒後臨床教育において、重要な役割を果たすかもしれない。
■謝辞
JJCLIPを視聴者いただきました皆様のおかげで、本取り組みを論文化することができました。この場をお借りして深く深謝申し上げます。なお本研究に関して当法人以外からの資金援助はありません。
[参考文献]
1)青島 周一, 桑原 秀徳, 山本 雅洋.薬剤師のジャーナルクラブ インターネット上でのEBMスタイル臨床教育プログラムの概要とその展望.ファルマシア Vol. 52 (2016) No. 10 p. 948-950 http://doi.org/10.14894/faruawpsj.52.10_948
2)青島 周一.薬剤師のジャーナルクラブ インターネット上でのEBM学習の場を提供する試み.医学書院/週刊医学界新聞(第3084号 2014年07月14日)