#67 駆出率が保持された心不全にはどんな薬がよいのでしょうか?
【シナリオ】
あなたは,今年卒業したばかりの新人薬剤師さんです.
ここはとある街の保険薬局.研修を無事修了し,上司の監督の下,患者さんへの服薬指導も行うようになりました.
本日の患者さん:
「軽い息切れと浮腫みを感じるようになって病院で相談したら,”心不全ですね,でも心臓の力は十分にあります.治療はどうしましょうか?パンフレットを渡しますから,2週間後までに自分がどうしたいか考えておいてください.セカンドオピニオンを聞いてもいいですよ” と言われたんです.資料には薬のこととか書いてあるんですが,読んでも正直よく分かりませんでした.これ以上息切れと浮腫みがひどくなるのは嫌ですし,どの薬がいいとか,薬以外の方法とか,何かおすすめってあります?」
[患者情報]
- 高血圧症でARBを毎月調剤している60歳男性
- 特に目立った既往歴はなく高血圧以外の現病歴もないが,薬歴によるとBMIは28
- 喫煙歴はあるものの,高血圧の治療を開始した時点で自力で禁煙,ただし飲酒は毎日
どう応えていいのかわからず頭が真っ白になってしまったあなた.
すると,後ろで話を聞いていた上司の勧めで,一旦宿題として質問内容を預かり,次週再度来局してもらい,そこでアドバイスをすることで落ち着きました.
その日の終わり,通常業務が全て終わって,先ほどの患者さんに後日どう対応すればいいのか上司にもう一度相談したところ,「ならばこれを読もう」と論文を差し出されました.
英語論文を見てげんなりしてしまったあなたですが,学生時代に教わった読み方を総動員して,その場で上司と一緒に論文を読んでみることにしました.
【お題論文】
Pitt B, Pfeffer MA, Assmann SF, et al.
Spironolactone for heart failure with preserved ejection fraction. N Engl J Med. 2014;370(15):1383-92.
PMID: 24716680
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24716680
【使用するワークシート】
ランダム化比較試験を10分で吟味するポイント
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