#90 医療従事者だって切実！「年収」と「幸せ」って実際どれくらい関係あるの？

　あなたは，とある街のドラッグストアの薬剤師さんです．年度末で決算月でもある3月末．棚卸しや期末業績報告など，社内での事務的手続き・仕事の多さに辟易する毎日です．

　それでもどうにかこうにか日々の業務をこなして，棚卸しの結果も問題なく，エリアマネージャーから在庫確定の承認をもらい，年間業績も去年より改善できて，今年も無事に一年を過ごせたとほっと一息．
帰り支度をしつつ，会社から届いた給与明細を見たものの…

「はぁ…今月は特に頑張ったけれど，やっぱなかなか給料上がらんなぁ…とはいえ，コロナ禍で失業するよりはマシかな．それに，あんまりお金があっても幸福度は上がらないってネットでも書いてあったしな．まぁこんなもんでしょ」

　なんて，ちょっと弱音というか，自分を納得させようと思わず声が出てしまいました．その声が聞こえてしまったのか，同僚でお金が大好きと自称しているF君から声をかけられました．

　「おいおい，そんな風に後ろ向きに自分を納得させちゃいかんだろ．頑張って業績あげたんだし，次の人事考課でもっと待遇改善要求しちゃおうぜ．そういや，年収が上がっても幸福度が頭うちになるって昔から言われてるじゃん？でも実は最近，やっぱり年収と幸福って相関し続けるって論文あったんだよ．まだ自分も深く読んでないからさ，今から近くのいつものカフェで一緒に読もうぜ．」

　仕事もできて，普段から論文も読んで勉強しているF君からの熱い（？）誘いに，少し怯んだあなた．
けれども，「お金と幸せ」というテーマにちょっと魅力を感じたのも事実． 急いで薬局を後にして，行きつけのカフェに入り，早速2人で一緒にその論文を読んでみることにしました．

Killingsworth MA.

Experienced well-being rises with income, even above $75,000 per year.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2021;118(4).

PMID: 33468644